久しぶりに京都へ行った。以前八年ほど住んでいた街だ。
その後何度も所用があって訪れてはいたが、忙しさにかまけてゆっくりと出来ず街のディテールを確かめる暇がなかったが、今回は少し時間も空いたので地下鉄に乗って昔よく行ったところに行ってみたのだ。しかし随分と様変わりしていた。
四条河原町の阪急も無くなっている。よく行った喫茶店も映画館もない。丸善もない。
確かに自分が生活していた時の痕跡が消えている。
東京の出身ではあるが、いまの仕事は早々に辞めて今出川辺りのマンションを買っておそらくそれほど長くはない後半戦を過ごしてみたい。マンションならば異邦人でも、いや京都人でなくともそれほど住み難くもないのではと思う。
京都に住みたいというのは以前からの土地勘が出来ているのもあるが、三十歳頃から夢想していたことだった。それ以上に知っている人が居ない街に住むことに憧れる。
なれの果ては京都で。密かにそう決めてみた。