眼が曇る

病気の話ばかりで少しも嬉しくない内容の日記ではあるが、現在常用しているプレドニンというステロイドで右眼にステロイド性の白内障が進行していることが分かった。

普通、白内障といえば加齢による老人性白内障のことを言うが、ステロイドの副作用でもなるらしい。というよりこれはかなりポピュラーな副作用であって、それを見越して服用の最初から眼科検診を行っているくらいだ。他に緑内障などの懸念もあるが、その兆候は今のところない。

老人性とステロイド性ではその出方に違いがあって診れば分かるらしい。

以前、入院時には一時期眼科病棟にいたことがあって、隣の空きベッドに頻繁に人が入れ替わるので看護師さんに聞いたところ、白内障の手術を受けるための半日入院ということらしかった。

これを聞いて驚いたのだけれど、もう随分前に母親が白内障の手術をした時には、片目一週間の入院の両眼で都合二週間掛かった記憶があり、それが今では半日入院で日帰りだという。何という進歩か。

この話を看護師さんにしたところ、以前は二、三日の入院だった記憶はあるがと。考えてみれば私の記憶はもう30年も前のものだった。これだけ時間が経過すれば進歩もするだろうと何か納得した。そういえば当時はまだ保険適用外だったが、いまは保険が効く。

眼の話での連想だが、最近読んだ本に内藤憲吾著「お稲荷さんと霊能者 伏見稲荷の謎を解く」(洋泉社、2017年)がある。伏見稲荷の霊能者を長年の付き合いのなかからみたインサイドルポルタージュといえば良いか。著者が変にスピリチュアル的でなく過度に批判的でないところのバランスも良いと思うが、その行者はやはりというか晩年は緑内障で殆ど目が見えないのだった。

青森のイタコも盲目であり、どうも霊能と視力というものには何らかの関係があるような気がする。

これをきっかけに民俗学的興味がムクムクと頭をもたげ、図書館でアンヌ・ブッシィ著「神と人のはざまに生きる―近代都市の女性巫者」(東京大学出版会、2009年)を借りてこれから読み始めるところだ。

自分の白内障はステロイドを離脱しても進行してしまった分は戻らないという。

それでも原病の治療を優先し途中で止めることはできない。飲めば進行することが分かっているのに止められないのは少々辛いが仕方がない。進行してどうにもならなくなったところで白内障なら手術してもいまや日帰りだと思うしかない。そうなったらなったで見えてくる風光というものがあるのだろう。