諸刃の剣

プレドニンはステロイド薬で、ある種の病気には著効があるが同時に強弱さまざまな副作用があることで知られる。原因が不明で治療方法がまだ確立されていない難病にはよく出てくる薬だ。

効果と副作用はまさに諸刃の剣だが、他に治療法がなく放っておけば重篤な状態になる場合にはこれを使うしかなく、副作用の可能性を飲み込んだうえで仕方なく使われる薬なのだろう。

プレドニンはプレドニゾロンともいうらしい。この方がおどろおどろしくて怖さが増す。メチルプレドニゾロンの液剤の商品名はソルメドロールだ。接頭辞のソルはゾルなので液剤を示す。この話はプレドニンを大量点滴する療法、ステロイドパルスで入院した際に薬剤師に聞いた。事前に医師からプレドニゾロンの点滴と説明があったが、点滴中にラベルを見るとソルメドロールと記載があってもしや薬を誤っているのではと恐ろしくなりナースコールしたのだ。同じ薬ですから大丈夫ですよ、と説明されて安心した。同時にそういう風に問題意識を持つのは良いことですよ、今後も疑問があったら遠慮なく聞いてくださいね、と褒められた。

この辺りはプロの仕事で、患者を安心させる手法を熟知していると思う。しかしステロイドなどという物騒なものを直接血管に大量投与されていることを思うと内心こころ穏やかでない。それも週の前半3日を連続して行い、さらにこれを3週間続けるのだ。気が遠くなる。しかしいま自分はこの物騒なものを大量に入れなければならない程の身の上なのだという現実を見るほかない。

途中、突然の結膜下出血や高血糖、不眠などが出たがこれ以上の副作用は出ずに2週目でこの治療の目的である尿所見がほぼ寛解に近い数字にまで下がったのには驚いた。やはりステロイドは劇的に効く場合がある。しかしむしろそれを見て怖くもなる。まさに諸刃の剣だ。

その後は服薬を続け、約一年掛けて減薬してゆく。現在はその旅の途中だ。
この旅は楽しくないかも知れないが、周囲を見渡すとなかなかどうして美しい風光がそこかしこに見える。
それも旅に出る前には気付かなかったところに花が咲くように。
旅とはそういうものだ。好き嫌いではなく、愉しむものなのだ、と思う。